445人が本棚に入れています
本棚に追加
「とにかく皆をまとめて、打開策を練らないと!皆死んじまう!」
何やら熱心に男子が熱弁している。
アイツは……ウチのクラスのムードメイカーの……名前は……忘れた。
俺の記憶力の無さと友人関係の狭さには涙が漏れるな。
「集めていったいどうするのよ?」
「どこか……どこか大人がいる場所に避難するんだ!」
「嫌よ!外になんて出たくない!」
白熱した討論の中、髪の長い女子が、うつむいて激しく首を振る。
「けど、此処にいたらその内……」
「その内何だ?」
横槍を入れたオレに、一斉に視線が集まる。
つい口に出してしまって舌打ちしつつ、周りを見渡すと、集まっているのはクラスの中でもリーダー各の面々。
地味で目立たないように過ごす事に心血を注ぐオレには、話す機会もない奴らだ。
まあオレが避けてるだけだが。
取り敢えず注目も集まってしまったから続けさせてもらうか。
「その内どうなる?此処が崩れるか?それは無いな、一応体育館だぞ此処は、それに皆をまとめるのもやめとけ、せっかく各自仲の良い者同士で慰め合って落ち着いてるのに、また混乱しだすぞ、その子みたいにな」
「じゃ、じゃあどうするのが一番良いんだよ!」
「さあな、分からないが無闇に歩き回るより救助を待つのが懸命だと思うな」
「来なかったらどうする」
「だから分からないと言ってる、お前らも外に出る危険性を分かってるのか?」
混乱して頭にキテるからか、妙に突っ掛かってくる男子生徒をなだめ、オレはその場から逃げるように離れた。
オレが言ったこともはっきりいって、正しいとは思えない。
混乱して頭にキテるのは、オレかもな。
最初のコメントを投稿しよう!