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携帯電話は7月2日の午前1時半を示す。
周囲に変わりはない……かと思ったが。
「さっきは格好良かったよ」
「やめろ、ヤマトにチクるぞアメリカ」
髪の長い、いかにも優等生な女が一人、オレの前につったっている。
こいつの名前はリカ。
名字をあわせると雨宮 梨果【アマミヤ リカ】。
通称、アメリカだ。
もっとも、そう呼んでるのはオレとアオイだけで、名付けたのもオレだが。
そしてこいつはヤマトの彼女でもある。
「でもオレもすっきりしたぜカイ、それに安心した、やっぱお前れーせーだな、つか冷たい」
「だよねーあおいん」
「誉めたいのか馬鹿にしたいのかどっちだお前ら」
重たくなる瞼を支えながら言うと、二人がオレを覗き込むのを感じた。
「あんなのデタラメを並べただけに……決まって…………」
急激にきた睡魔に潰れていくオレの耳に、二人のクスクス笑う声が聞こえた。
子供でもあやかすような声だった気がする。
だから目立つのは嫌なんだ…………。
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