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‐StoryⅣ‐不安‐
「何をしてるの?」
「此処はどこなの?」
「ねぇ助けてよ」
「喋ってよ」
「アナタは誰?」
目が覚めた。
嫌な目覚めだ。
それだけが分かる。
……原因はたぶんこの状況か。
起き上がると、そこは暗い体育館。
生徒の泣き声が遠く聞こえ、壊滅した風景が視界を支配する。
どうやら、地震に襲われたの夢じゃないようだ。
夢……か。
そういえば夢を見たような……。
「おはようカイ」
「おっはー」
「ん、ああ……おはようヤマト、アメリカ」
笑顔のないヤマトと、無理に明るく振る舞っているアメリカが、気持ち良く俺に挨拶をする。
アオイはその隣で、丸まって寝ていた。
ツナは……見当たらない。
「ツナは?」
「外かな、顔洗いにいったと思うけど、カイも行ったら?」
水道が……機能してるのか。
なら行くかな。
さっきからヤマトの視線はオレの頭上にある。
それはきっとオレの芸術的な寝癖に感銘を受けてるんだろうう。
「テーマはライオンです」
「プッ!アハハハハ」
長年オレを苦しめる寝癖にテーマを付けると、アメリカが軽く笑う。
笑ってないとやっていけないからだろう。
二度目の眠りに、オレの軽口も復活してきたみたいだ。
二人を残して、オレは体育館前にある手洗い場に向かう。
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