445人が本棚に入れています
本棚に追加
「日本で、かもしれんで」
ツナが付け加え、険しい顔をする。
日本で。
そんな……いや、もしかすると……地球で……?。
「……おぇ……」
想像すると気分が最悪だ。
目眩と吐き気が襲う。
今すぐ倒れたい衝動が心に広がる。
「大丈夫け?」
「ああ」
なんとか持ちこたえ、手荒い場の上に座る。
気分を落ち着かせよう。
今は焦ってはダメだ。
そんな気がする。
「ワシ、地震が起こる前に変なもの見た」
突然、ツナが話し始めた。
イラついた心を静めるため、深呼吸に集中していたオレは、無言で続きを促す。
「あの辺の空が真っ赤やってんか」
ツナが見つめるのは東の空だ。
もちろん今は真っ黒だが。
「火事でもあったのか?」
「かも知れんけど、火事なんかよりもっと……」
ツナの言葉はそこで途切れ、続かなかった。
オレもツナの言いたいことは分かったが、口には出せない。
せめて、ツナの勘がそう何度も当たらないようにと、オレは無意識に祈った。
最初のコメントを投稿しよう!