‐StoryⅣ‐不安‐

3/6
前へ
/254ページ
次へ
「日本で、かもしれんで」 ツナが付け加え、険しい顔をする。 日本で。 そんな……いや、もしかすると……地球で……?。 「……おぇ……」 想像すると気分が最悪だ。 目眩と吐き気が襲う。 今すぐ倒れたい衝動が心に広がる。 「大丈夫け?」 「ああ」 なんとか持ちこたえ、手荒い場の上に座る。 気分を落ち着かせよう。 今は焦ってはダメだ。 そんな気がする。 「ワシ、地震が起こる前に変なもの見た」 突然、ツナが話し始めた。 イラついた心を静めるため、深呼吸に集中していたオレは、無言で続きを促す。 「あの辺の空が真っ赤やってんか」 ツナが見つめるのは東の空だ。 もちろん今は真っ黒だが。 「火事でもあったのか?」 「かも知れんけど、火事なんかよりもっと……」 ツナの言葉はそこで途切れ、続かなかった。 オレもツナの言いたいことは分かったが、口には出せない。 せめて、ツナの勘がそう何度も当たらないようにと、オレは無意識に祈った。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加