445人が本棚に入れています
本棚に追加
/254ページ
「………」
先ず思ったのは、何だこいつ、の一言だ。
灰色っぽい前髪が長く垂れ下がっていて、両目が隠れて見えない。
こんな奴……漫画くらいにしか存在しないぞ。
頭も下げず、そいつは校舎の方へと走っていく。
「変な奴だな……」
とにかくヤマトの言う普通ではないな。
もしかしてアレが?
「あ、アレが転校生だよ」
ビンゴかよ。
「そか、まあ……どうでもいい…」
確かにムカつくが、アオイほど気にもならないし、ヤマトほど興味も湧かない。
オレの頭は担任をどう退けるかだけだ。
ヤマトを残して半開きの扉をくぐる。
「失礼します」
中では何人かの教員が食事を取り、何人かの生徒が教員に説教されていた。
どうやらオレは順番待ちになるらしい。
暇だから体育教官室を見回す。
クーラーの効いた涼しい部屋だ。
教員どもが居なかったらずっと居たいくらいだ。
最初のコメントを投稿しよう!