第四夜目 出発、再開、そして…

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そのような直感というか感覚的な物に近い…地獄島を出て大分時間が過ぎた、少し前から見えていた灯台と日の出市の光りはもう大分近くなっている…龍は時計を見て時間を見た、8時半…時刻を確認すると海神神社に船をむけた、実は寿命師にとってこの神社の主とは昔から仕事上の協力者であり、良き友人であった、洞窟付近の浜辺に船を停め、指笛を吹く、すると暗闇の洞窟からこちらに向かって羽ばたく羽の音が聞こえる、そう、黒が来たのだ、龍の近く降り立ちこちらに歩いてくる、仕事モードに入った気配を感じたのか黒も少しピリピリした感じだ… 『寝てた所すまない、この手紙を菊婆の所に届けてくれ。』 そう言うと黒の足に手紙を縛る、それが終わると自分の飼い主の所へと、飛んで行った、龍ら依頼人から北村が拷問をされている事を知った為、自分が再開した後北村の身柄を引き取ってもらうよう書きそれを運ばせたのであった、そして待ち合わせ場所へと向かった…。 ここで、少し時間を戻し依頼を終え事務所へ戻った木村達の話しになる、入口の前には何人かの下っ端が帰って来た木村の車のドアをあける。 『お疲れ様です。』 『中にお客さんが乗ってるから丁重に俺の部屋までお連れしろ。』 『はい。』 木村が降りた後、後部のドアが開き意識がほとんど無く酷く顔色の悪い北村が男二人に抱えられるように出て来た、北村はそのまま引きずられながら二階の事務所へと運ばれた、その姿は人と言うよりまるで荷物のように見え、その扱いも酷いものであった…木村が二階に入ると内田がいた。 『木村、例の寿命師とやらはどうだった?』 木村が部屋に入るなり、すぐに話し掛けて来た、近くのソファーに座りその問いに答える。 『まだ本人には逢ってない、ただ、北村の言った通だった、もし本当なら依頼は成功したはずだ、ま、あれだけ当たっていれば間違い無いと思うが…』 『そっか、まずはOKか…』 『それより、そっちは何か進展はあったのか?』 『いや、やはり朝のままだな、ただ親父の警護はばっちりだ、そっちは安心してくれ。』 『で、親父の容態は?』 『良くはない、徐々に悪くなっているようだ、最悪もって後一日か二日だろう…』 『そうか…だが、それだけあれば間に合うな。』
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