第二夜目 寿命師

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第二夜目 寿命師

地獄島人々からそう呼ばれる島に寿命師は住んでいる、小さい島でかつて罪人達がこの島につれてこられ一生出てこれなかったところからこの名前が着いたのだが今では人々も住み着き自然にかこまれた静かな島になっている、この島の北側に藤田 龍と名乗って小さい診療所を構えている男こそ寿命師である、身長175cm髪は長めで白髪、二十歳前後に見られきりっとした顔立ちでわりと男前である。  今、朝の8時近いだろうか強い朝日が窓からカーテンの隙間を縫って入ってくる、その光が顔にあたり眩しさで目をさましてしました、ストレートの髪は寝癖でボサボサになっている、まだ眠そうな顔をして目をこすりながら布団から立ち上がり起きて来た、一緒に暮らしているヨークシャテリアのベルはもう目を醒ましていて、ご主人が起きた気配に気付くと嬉しそうにこちらに向かって来た。  『おはようベル。』  そう言って抱き抱えるとベルは尻尾を振りながら顔をペロペロ舐めて来た。  『解ったよ、今朝飯あげるから。』  ドックフードを取りに行くとトコトコとベルは後ろを着いてくる、いつもの皿にそれを盛り床に置こうと下に目線をやると愛くるしい顔でこちらを見、おすわりをして待っている姿におもわず笑みを浮かべながら餌を置く。  『さて、俺も朝飯にするか。』  パンをトースターにセットして洗面所で顔を洗い居間に向かう、調度程よく焼けた香りは居間全体を包み混んでいる、寝癖を直しながらテーブルにそのパンと牛乳を置きテレビを付ける、時刻は8時半近かった、9時から診療開始のわりなはかなりスローな性格である。番組はニースを放送していて頂戴のニースを読み上げる所であった、その内容は今日の早朝に飲み屋から出て来た暴力団の組長が何者かに撃たれ重傷のまま近くの病院に担ぎ込まれたというものであった。この時龍はみょうにこの事件が頭から離れずにいた、この一件、俺に何か関わってきそうだな、寿命師の関係なのかふいにそう思いながらも朝食を平らげる、一足先に食事を済ましたベルはゆっくりしているご主人に愛想を尽かしたのかワンワン吠えながら走り回っていたそれはまるでもうすぐ診療所を開ける時間だよ、と急かしているように見えた。  『わかったよ、もう開けるから。』  龍はそう言うと身支度をしていつものように診療所を開けたのであった。
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