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夜の暗闇を寿命師の所へ物凄いスピードで飛んで行くその姿は華麗ではあるが恐ろしさも感じる、光もあまり無い中、普通の鳥なら絶対に前も見えないはずだがそこを迷いも無く進めるのはやはりこの黒鷹も特殊な鷹である事は間違い無いはずである。
徐々に朝日が昇り出し辺りが少しずつ明るくなり始める、ビンを持った鷹の視界には名前とは違った美しい島が見えて来た、黒鷹はその北にある診療所へ向かう、いつものように寝ている龍、その窓をトントンと何回か叩く音がする、いつもはどんな事があろうと目を覚まさない龍であるが、この音には敏感に目を覚ます。
『仕事か…』
音がした窓を開けるとそこには黒鷹が羽ばたいていた、龍の姿を確認すると運んで来たビンを手元に離す。
『ありがとう、黒!』
落ちて来たビンを龍が手でキャッチしたのを確認すると大空に羽ばたき二回半円を画きながらピューと、一鳴きして元の洞窟へと帰って行った。
『やっぱ来たか、あの事件の人だろうな…』
朝、ニュースで見た時のあの直感を龍は忘れてはいなかった、手にしたビンの蓋を開け中の紙を取り出し、広げるともう一枚小さな紙が落ちた、普通ならすぐに拾うのだろうが龍の性格上、まずは一枚目が優先だった、名前と日時、場所を確認しながらやっと二枚目を拾う、それを見たとたん龍の表情は変わった、それには北村を拉致し、拷問をした経路が書いてあり、今衰弱している様子が書かれていた…
『北村…』
手紙をグチャっと潰し龍は指定された時間を待った…
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