気遣い。

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数日たった。   今日は電話してみよっかな…?     携帯を手にとる。 壱とおそろいの携帯。 壱が、買おうって言ったんだ。1年記念に。    少し震える手で、[カズ]のアドレス帳をだす。   あたしは深呼吸を3回して、電話のボタンを押した。 呼び出し音の音が繰り返し鳴り響く。     ガチャっと音がした。 出たのは、留守番電話サービスの機械みたいな女の声。 『――暇になったら、連絡ください…。』   一言そう言うと、あたしは電話を切った。   寂しい気持ちをまぎらわすため、TVをつける。 ちょうど壱のCMがはいっていた。 TVの中の壱を見るだけで、嬉しい。 どうしても見惚れる。   そんな自分に気付き、あたしは急いでTVを消した――
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