気遣い。

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バタン!! 大きく部屋のドアが開いた。   あたしはびっくりして、振り向くとさらに驚いた。 壱がいる。     『何で…――』 『仕事…辞めてきた。』 ―――――は?   人気のある彼がそう簡単に仕事をやめる訳がない。 『仕事、やめたから……だから――別れるなんて言わないでくれ。』     壱はそう言うと、抱きついてきた。     『俺、景子と別れたら仕事やってけねぇもん。だからやめてきた。』   『本当にいいの?』 『うんっ…いいって。俺も会いたいの我慢できなくなったし。』         『げー!電源きったのかよ?』 『へ…?う、うん―もう一生来ないと思ってたから。』 『ぷっ…まぁいいや。なぁ、町にいこう。』       壱と街に出るのは初めてだ。     あたしは壱と一緒に家を出た。     『もう有名人じゃないから、遊び放題だよ。』       終。
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