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「え…機械じゃないの?」
春都が手に持っていたものは、暁彦が見慣れたものではなく、少し大きな針と小さな筆だった。
「マコトくんはいつもこれなんだよ」
「マジ?」
「こっちの方が綺麗だし」
「でも、痛いんでしょ?」
「痛い、みたいだよね」
なんとも苦笑の春都。
彫師として名の知れた、一流の腕を持つ彼ではあるのだが、彼の体には刺青と称されるものは、一切入っていない。
これはポリシーなのだと、春都はいつか語っていた。これといって理由がある訳ではないのだが、なんとなく入れる機会を逃してしまった、との事だった。
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