痛み

5/6
160人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「え…機械じゃないの?」 春都が手に持っていたものは、暁彦が見慣れたものではなく、少し大きな針と小さな筆だった。 「マコトくんはいつもこれなんだよ」 「マジ?」 「こっちの方が綺麗だし」 「でも、痛いんでしょ?」 「痛い、みたいだよね」 なんとも苦笑の春都。 彫師として名の知れた、一流の腕を持つ彼ではあるのだが、彼の体には刺青と称されるものは、一切入っていない。 これはポリシーなのだと、春都はいつか語っていた。これといって理由がある訳ではないのだが、なんとなく入れる機会を逃してしまった、との事だった。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!