22人が本棚に入れています
本棚に追加
―――ガラガラッ
「先生、休ませて下さい」
俺が部屋に入ると保険医の桜坂先生とストーブの近くで座って勉強をしている女がいた。
「いいわよ、ベットが空いてるから使いなさい」
「ありがとうございます」
一言お礼を告げてからベットへダイブした。
『ケホッ……』
保健室で勉強していた女の咳で目を覚ました。
女はしばらく苦しそうに咳をしていたが、桜坂先生はいないらしい。
「おい」
『あ、ごめん…起こしちゃった?…ケホッ』
「……大丈夫かよ」
『タダの風邪よ。すぐ治るわ!大丈夫、大丈夫!!…ケホ』
女は哀しげに笑った。
「だけど……」
『あなた、優しいのね。名前は……?』
「……椎谷 愁」
『愁……ね。
私は佐藤 凛!!』
凛はニコッと綺麗に笑った。
不覚にも凛にドキッとしてしまった自分がいた。
「なんでこんな所で勉強してんだ?」
『……風邪を引きやすい体質なの。
だから保健室で勉強』
その言葉を聞いた時、直感だけど凛は嘘をついてるように聞こえた。
でも、聞き返すと凛が壊れてしまいそうだから…聞かなかった。
「そっか」
_
最初のコメントを投稿しよう!