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―凛視点―
“友達を連れて来てやるよ”
愁が言った言葉。
最初は驚いたけど…すごく嬉しかった。
私、素直になれないから愁に酷い言い方したけど、幸せだった。
それから愁の話を聞いた。
友達の事。
学校の事。
とにかく、いっぱい話てくれた。
愁の話を聞く度に頬が緩んだ。
チャイムがなってしばらく沈黙が流れた。
「…帰んなきゃ」
愁の一言に寂しさが私の心を支配した。
でも愁を心配させたくない。
『何暗くなってんのよ、ほらっ!早く行きなよ!!私にはあなたの嫌いな勉強が待ってるんだから♪』
明るく言い放つと、愁は笑ってくれた。
私の好きな笑顔で。
「じゃあな」
そう言って愁はドアを閉めた。
『はぁ…』
自然と溜め息が出てきた。
『いけない、いけない…!!
何暗くなってんのよ、私!!……はぁ』
ダメだ…。
愁がいないと明るくならない。
『どうしたんだろ……私』
「あら、どうしたの?」
『!!!……桜坂先生、驚かさないで下さいよー!』
「フフッ…!ごめんなさい。
で、どうしたの?」
『んー、長くなるけど……聞いてくれますか?』
「いいわよ」
話すのは少し恥ずかしかったけど、話した後はスッキリした。
「それ、恋よ」
『恋ですか、なるほど……って!!?』
「恋、知らないの?」
恋した事ないの?、と付け足した桜坂先生は何かを楽しむように笑っていた。
『知ってますよ!!
でも、あんまり人と接した事ないから…恋したことはないです』
「だったら、絶対恋よ」
『ですかねぇ?』
「えぇ、頑張りなさい」
若いっていいわねぇ、と呟きながら先生は薬品の手入れを始めた。
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