スティッチ

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嗚呼これからも 雑貨屋さんでディズニーランドでドン・キホーテでスティッチを見るたびに彼を思い出す。 彼に愛されていたような気がしていたあの頃を思い出す。 彼とのこと何でも、例えばニューグランドから見たみなとみらいの夜景、中華街のコース料理、大晦日の東急の食品売り場での買い物-年越しそばとかおせちとかカニとか焼酎とかおもちとかケーキとか、はしゃぎまわった-、ほんとに何でも思い出す。 彼が急にいなくなって、半月のあいだ部屋から出られなかったことを思い出す。 彼との思い出がつまった部屋に一人でいると、発狂しそうになったから、北陸の小さな温泉街に、一人で逃げ出したことを思い出す。 嗚呼スティッチ。 あなたが消滅するまで、わたしの心の平穏はおとずれない。
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