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…歌が聞こえる。
聞いたことのない、異国の歌だった。
しかし、歌っているのは、日本人の少女のようだ。
発音が滑らかでなく、度々歌い直している。
声は、体育館から聞こえていた。
彼は、そっと体育館のドアに耳を近付ける。
…歌う声が消えた。
と、
バンッ!
不意にドアが開き、支えを失った彼は、前のめりに倒れた。
「今の歌…聞いた?」
頭上から声がした。
痛ててて…と、額をさすりながら、起き上がる彼。
「聞いたよね…?」
少女は、確認するかのようにもう一度聞いた。
うん、と彼は正直にうなずいた。
「そう…。このことは、誰にも言わないでほしいのだけど…」
わかったよ、と彼は返事し、その代わり…とつけ加えた。
「その代わり…?」
もう一度…さっきの歌を歌ってほしい。
「わかったわ。」
彼女はそう返事をして。
そして…。
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