5人が本棚に入れています
本棚に追加
歌い始めた。
彼は夢中で聞きいった。
たどたどしい英語で彼女は歌う。
高い声…
低い声…
かすれた声…
裏声…
様々な声が混じり合って、不思議なハーモニーを作り出す。
時間は止まり、他の音は聞こえない。
ただ彼女の歌う声だけが…彼の頭の中に流れ続けた。
それは愛の歌か…
自然を讃えた歌か…
悲しい歌か…
楽しい歌か…
英語の成績が悪い彼には、全くわからなかった。
それが、上手いのか…
下手なのか…
普通なのか…
音痴と言われている彼にはわからない。
しかし、ただ1つ彼がわかったことは…
彼女は素晴らしい歌い手ということだった。
その証拠に…一時間という時間をあっという間に経ったように感じさせたのだから…
ただ数曲の異国の歌だけで…。
約束…絶対守ろうと、彼は心に誓い、彼女と別れ帰路を急いだのだ…
最初のコメントを投稿しよう!