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俺は忘れない、教室を出る時に見た男子達の陰鬱な目を。そして、女子による好奇の目を。
「失礼します」
指導室の戸をノックして部屋に入る。
中には革張りのソファーに深く腰掛けた、全身黒ずくめのスーツに身を包んだ男が足を組んで座っていた。
学校 進路 教師 頭に幾つかの単語が並んだが、その男の雰囲気が全てを否定している。
「ようこそ、進路指導員の菱沼だ。さぁ、掛けたまえ塚守君」
「し、失礼します」
「時間は有限だ。私に取っても君に取っても有意義に過すべきだ。とかく、我々は時間というものの大切さを忘れがちだがぁ………」
流されちゃダメだ
流されちゃダメだ
流されちゃダメだ!
「先生!進路指導をお願いしますっ!」
時間の話から次元の話をし始めていた菱沼に、精一杯の起動修正をして見る。
「つまり、次元は二次までが萌えと確定されぇ。あぁ~、すまないつい話がそれてしまった。君は就職を希望だったね?」
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