プロローグ~告白は厳かに~

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「終わりました?じゃあ、帰りましょう」 教室に戻ると、睦美は読んでいた本から目をはなし仕度をはじめた。 「待たせて悪かったね」 「いえ、好きで待ってますし。女子3歩下がりて内助を示しおのこを待ちて想いを示すと」 「聞いた事ないよ、何の格言?」 「うちの家に伝わる、嫁入り百ヶ条です」 お互いに荷物をまとめ家路をたどる。 睦美とはこうしてたまに一緒に帰る。 何と無しに一緒に帰る事もあれば、どちらかが誘ってというのもある。気ままにお互い距離を開けて過ごしてきた、 「なんか、最近よく一緒に帰るな」 「はい、断られなくて嬉しいです」 あれ、断ろうとしたの気付いてない?何時になったらノーと言えるかと考え、無駄な考えをやめる 「再来週には卒業だし、思いでつくりです。まぁ、大学も一緒だからあんまり実感ないんですけど」 ニハハと朗らかに笑う睦美。 あぁ、言ってなかったな。 「なぁ、むっちんや」 「なんです、あっきーさん」 俺は、縁側の老人テイストに切り出した。
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