離さないって

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「いつまでそこにいるつもりだ」 空は真っ赤を通り越して黒になろうとしている。私は大きな木の上に腰掛けて、私を見上げる兄を見下ろした。 もう星だって光ってる。でも私が来たのはお昼前。どれくらいたったのかな。もう明日かな。なんて想いながら空を見上げてたのだけど、現実はまだ今日でまだ夜で。 兄が迎えにきた事に内心腹を立てていると、兄は溜め息を吐き私から目をそらした。 「…ガキ」 「いいもんガキで。…絶対帰らないから」 「もう夜だぞ」 「夜になったって、帰らない」 いーっと歯を見せると兄も腹を立てたのか眉を寄せて私に睨みをかけた。 「怖くないよ。パパのほうがよっぽど怖い」 「ばか言うな。早く降りて来い」 「やだ」 「美羽…早く降り」 「やだ」 溜め息まじりの声で名前呼ばないで。その名前はママがつけたんだもの。私の証明の証しだとしても私がつけたんじゃないもん。 「どうせパパとママはまだ喧嘩してるもん」
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