11人が本棚に入れています
本棚に追加
兄の手が私の身体を掴まえてドスンと尻餅をつく。鈍い音に目を見開くと兄がいたそうに苦笑していた。やっぱり高さがある場所からのダイブの受け止めは痛かったみたい。
「…重い」
「ごめん…なさい…」
「いいよ…ほら、帰るぞ」
もう一度手が差し延べられる。私は戸惑う事なくそれを掴み返した。
握った手の平から暖かさが伝わって冷えた身体にジンと響く。それが嬉しくて、もうこれが最後だと思うとせつなくて涙が出てきた。
「何泣いてんだよ」
「別に。私もう泣かない」
「今泣いてるくせに」
「もう泣かないの」
お兄ちゃん
離れないって言える?
離さないって言える?
まだ一緒って言える?
「泣き虫の面倒はきついから泣くなよ」
「泣き虫なんかじゃないっ」
明日になったら
いないんだよ
会えなくなるんだよ
ねぇ
わかる?
最初のコメントを投稿しよう!