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「美羽、あんたまだお兄ちゃんに恋してる訳?」
中学の制服のまま商店街をぶらぶら歩いていると、横にいた渚がそう言ってきた。
「もちろん」
あの頃はまだ小さくて気持ち伝えられなかったけど、今度あったら伝えるんだ。
「小学生の頃に生き別れたんでしょ?いつか会える約束は?」
「してないよ」
「…それでも好きなの?」
「うん」
約束なんてものしてない
約束する時間も考えもなかった
でもいつか会えるって信じてるから
『速報です』
商店街の電気用品の前のテレビの画面がいきなり変わる。パッと変わったアナウンサーが焦ったように原稿片手にマイクを取った。
『先ほど、男性が少年を12階マンションから投げ捨てるという事件がおきました。少年は17歳で体重は25キロ。やせ細っており身長は150しかないとの事です』
「…怖いね」
「怖いね―…」
お兄ちゃん
お兄ちゃん
あなたはどこにいますか
こんな物騒な世の中で笑って生きていますか
私はそれなりに頑張ってます
この前のテストで96点とりました
また褒めてくれますか?
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