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「何よそ見してんだよ!」
その声が背後から聞こえ、気付いた時には鉄パイプを振り上げた男の標的になっていた。
避けきれないと一瞬で分かる。
だが、その瞬間だった。
「隼人!!」
そう親友の声が響いたと同時に体が自分の意思とは違う所に移動する。
そして目に映る振り下ろされた鉄パイプと倒れゆく親友の姿。
アスファルトの上に倒れ込んだ親友の頭からは、無造作に血が流れ落ちていた。
愕然とし、立ち尽くす。
かばわれた事を理解しながら、俺は声を張り上げた。
「……っ、葵!!」
次の瞬間、俺はハッとして目を開けた。
カーテンの隙間から漏れた光と、小鳥のさえずりで意識がハッキリする。
「…夢…か」
俺、草野隼人が、中学時代に親友とヤンキーをやっていた時の夢。
まさか今頃こんな夢を見るとは思っていなかった。
とにかく、学校もあるので起きなければならない。
ダルさもあったが目を覚ましながら制服に着替え、部屋を出た。
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