第一章『親友』

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  「は?」 朝のHRで担任が言った言葉に、思わず声を溢す。 それを聞いた一宏が偉そうな態度で説明した。 「何だ隼人、聞いてなかったのか?今度の合宿、女子と混合になったんだぜ!」 「聞いてたっつの。いちいち説明すんな」 そんな俺の応えにブーブー言いながら怒る一宏。 周りでは喜ぶ男子生徒の姿が多数。 この学校では、毎年一年生が交流を深める為に合宿を行なっているのだが、普段は男女別々なのに今回は共同で合宿を行うと決まったらしい。 合宿の話し合い時に女子と混合が良いとほざいてた奴が多数いたが、まさか本当にそうなるとは思っていなかった。 「はぁ…冗談だろ…」 「そんな気落ちすんなって隼人。どうせ短期間だけだろ?」 思わず溜め息を溢すと、隣の席の葵が元気付ける様に言う。 例え言わなくても、葵は女子と関わりたくない俺の心理を解りきっていた。 「まぁグダグダ言ってても仕方ねえしな」 葵の言葉を受け、不服ながらも納得する。 そんな俺に、葵は話題を変えて話しかけてきた。 「な、それより今日も行くんだろ?」 それを聞き、思わず笑みを作って返す。 「ったりめーだろ。もうちょいで出来そうだしな」 そうして互いに巧みな笑顔を見せる。 俺達には、最近ちょっとした秘密があった。  
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