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平日の為空いていた道路をギャンギャン駆け抜ける、オバチャンのローレル。
アメリカのマンガとかで、車が一旦後輪だけで立ってから高速発進するような、あんな走行だ。
スピード違反とか、もうそんなレベルでは無い。
「オバチャンはね、牧志<まきし>って言うの!車とかバイクが大好きでね!」
窓から入る風をビョービョー浴びて、牧志さんは声を張り上げる。
「お、俺!上田っす!よろしくっす!」
自分が発した音すら風にかき消されて、バックミラーの遥か彼方の景色に置き去りにされる。
急ブレーキ、急発進、ドリフト走行、スーパーバック…有り得ない運転のローレルは漸く、横浜中華街の外れのマンションの駐車場に止まった。
勿論、急ブレーキで。
「はい、ここから歩きね。ああ楽しかった!」
さっきまで狂喜の表情でハンドルをきっていた牧志さんは、迎えに来た時と同じフレンドリーな笑顔でドアを開けた。
クレイジー。
「それじゃあ、この帽子とサングラスをしてね。うちの会社は業務上、秘密主義だから。面接だけじゃ場所も教える訳に行かないんだよねー。」
秘密結社!?
この瞬間、俺はかなりワクワクした。滅茶苦茶な運転に慣れてしまった所為か、いやにハイな気分だ。
鼻歌混じりに帽子を被り、意気揚々とサングラスをかける。
もう、どうにでもなれ!(笑)
俺は今日から秘密結社の工作員だ!(爆)
イーッ!!
…いや、平成特撮世代なら間違いなく…
マゲラッパ!!
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