No.Ⅱ 物語の主人公

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(…息がしづらい…) (寒い…) いつのまにか気を失っていたのか、アリスは重い瞼をゆっくりと開いた。 「ッ??!!」 ぼーっとしていた頭は自分の今の状況のおかげですぐに醒めた。 周りは白くて冷たい雲があり、下には緑と青が一面と広がっていて所々建物のような物が見えた。 アリスの顔色は瞬時に真っ青になり、喉から引きつったように空気を吸い込んだ。 「ッきゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 アリスは生まれて17年、今までで一番大きい叫び声を出していた。 「どうしたんだい、アリス」 平然としたチェシェ猫の声が真後ろから聞こえた。 アリスは首だけを弾かれたように後ろに振り向かせ、涙を溜めている瞳でチェシェ猫を見るとくしゃりと情けない顔をつくった。 「チェ、チェシェ猫ッ、さん…!ぉ、ぉお落ちてるわぅあぁー!!」 どうしようもできずに死が近づいている状況のアリスは、何とか言葉を発した。 「落ちてるね」 チェシェ猫の答えに、頭の中が真っ白になってしまった。 次の瞬間、アリスの頭の中からふつふつと台詞が横切ったが、何故チェシェ猫は平然としていられるの、私死んじゃうの、などと全部疑問や不安だらけの台詞だけだった。
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