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「私、死んでしまうのかしら…」
体を丸めて震えた声で呟き、瞳から涙が零れたが落ちている勢いで雫が上に向かった。
すると、急にチェシェ猫がアリスを世に言う【お姫さま抱っこ】の体勢をとった。
「チェシェ猫さん…?」
チェシェ猫に触れられて、何故か落ち着きを取り戻したアリス。
アリスはチェシェ猫の首に両腕をまわしてかたく目を閉ざし、抱きついているかのように体をくっつけた。
「 」
チェシェ猫がアリスの耳元で単語を口にしたと同時に、チェシェ猫の腕の上に乗っていると実感できた。
自分の体重がチェシェ猫の腕にかかっているのが分かるのだ。
(どうして…?)
アリスは不思議に思い、器用に片目だけを開いた。
「…どうなっているの…?」
アリスの思考回路が次々の不可解な現象についていけなくなっていた。
チェシェ猫とアリスの体が淡い光を放ちながら重力を無視して浮いており、そのままゆっくりと下に向かっているのが今の状況だった。
確かに本の中にいる事になってはいるが、今まで魔法などに無縁だったアリスはただ目を点にさせる事しかできない。
もちろん魔法に無縁なのはアリスの世界では当たり前だが。
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