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「今度こそ、死んでしまうのかも…しれないって、思ったの…」
突然の場所、突然の話、突然の責任。アリスはそれをじわじわと感じていき、心に重く乗っかっていていた。
「アリスは死なせないよ」
アリスの頭上からチェシェ猫の声がふってきた。
「ありがとう…チェシェ猫さん…」
アリスは泣きすぎなのか空にいるせいなのか理由が定かではないが、頭にいく酸素が少なくなり、そのまま眠ってしまった。
「アリス…」
チェシェ猫はアリスの髪に笑顔を崩さないまま口付けて、静かに呟いた。
「アリスは猫と深く繋がらぬ事」
それはまるで、自分に言い聞かせているみたいだった。
♥♠♦♣♥♠♦♣♥♠♦♣
アリスが目を覚ますと、レンガで壁ができていて机やキッチンがある広い部屋の床に座っている事を1番に理解した。
その部屋には出入りする扉や、窓も無い奇妙な部屋だった。
「チェシェ猫さん…?」
そばにチェシェ猫がいない事に気付いたアリスは慌てて部屋中を探した。
けれど部屋には静寂が流れ、誰の気配もしなかった。
「そんな…1人は嫌ってお伝えした筈なのに……あら?」
1人でうなだれていると、壁に、赤いハートのガラスがついているとても小さな可愛らしい扉を見つけた。
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