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「まあ、可愛らしい。飾りの扉かしら」
アリスの顔に笑顔が戻った。
「ここから外が見えるかもしれないわ」
アリスはさっそく扉を開けようとするが、小さな扉のためドアノブも小さく、なかなか開けられない。
「ああ、もう、私が小さかったら開けられるのに」
一旦扉から手を離して溜め息をつき、文句を言っているとポンッと小さな音と共にアリスの横にバスケットがあらわれた。
そのバスケットの上には、赤色のペンと黒色のペンとで交互に何かが書いてあった。
「えっと…私をお食べ?いいのかしら?…でも、お食べと書いてあるもの」
本に入ってからまだ少ししか経っていないが、驚く事は沢山あったのでアリスはビスケットがどこから現われたのかは気にしなかった。
上機嫌でビスケットを開けると、中身は全部模様が違う可愛らしいクッキーが沢山入っていた。
「まあ、美味しそう!いただきます」
満面の笑顔で、四角い形をして真ん中に大きめな星型のジャムが乗っているクッキーを一口食べた。
クッキーの味が口内に広がってアリスは片手を頬に当てて目を閉じ、一時の安らぎを感じていた。
だが、その安らぎは文字通り一時だけであった。
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