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「もう少し、お喋りしましょう」
「でもアリス…「もう少しだけ!」
すっかり持ち前の明るさを取り戻したアリスは、自分の顔の前に両手を合わせて無邪気にチェシャ猫に頼んだ。
「アリスの言う通りに」
「まあっ」
アリスが嬉しそうにはしゃぐと、チェシャ猫は笑ったまま表情は変わらないが、アリスには少し優しく微笑まれた感じがした。
こほん、とアリスがわざとらしく咳をすると、人差し指をたててチェシャ猫を睨むように見た。
「突然白ウサギを追い掛けろ、私はアリスで主人公だって色々言われても分からないわ」
「ワカラナイ…?」
「そう、分からない」
小さい子に言い聞かせるようにもう一度言うと、チェシャ猫は小さく首を傾げた。
「私はアリスという名じゃないし、青い瞳を持つ人はいっぱいいるわ」
「ここに来たよ」
「ここに…?第4図書館に意味があるの?」
「青い瞳のアリスはここに来るんだよ」
チェシャ猫の言い分を頭の中で整理して、アリスは納得したように口を半開きで2回頷いた。
うーんと唸り声を出しながら考えだしたアリスを、チェシャ猫は笑ったまま見つめている。
「じゃあ、何故白ウサギを追い掛けるの?」
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