暗い気持ち 明るい気持ち

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台所に向かうと、父さんが座って待っていた。 父さんは仕事が夜間なため、毎朝台所で迎えてくれる。 「おはよう、和樹。今日から新学期だな」 「あぁ…父さん、おはよう」 俺も曖昧ながらも、父さんの挨拶を返す。 そして、父さんの隣の椅子に座った。 「父さんは怠けて安い仕事しか就けなかったが、和樹にはそうなって欲しくない。二年生は高校生活の内で非常に大事な時期だ。勉強に励み、行事を思う存分楽しんで来ることだ。わかったな」 「わかったよ、父さん」 本当は、毎年・毎期になる度に言われている。 だが、父さんは自分の恥ずかし味を俺にはっきりと伝えてくれているのだ。 そんな父さんを見ているとなんだか暖かく、気分が高まって、その一時だけ元気が出てくるのだ。 だが今日になって、俺は元気のあまり禁句を口から漏らしてしまう。 「父さん、母さんは?…あ…」 「……………………」 一、二分空気が凍ってしまった。
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