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「大輔が…」
俺の事について語ることが大嫌いな奴が、珍しいなと思う和樹。
「で、何でさっき…その…キスしたんだ?」
多少言うのは恥ずかしかったが、これも聞きたいことだった。
「え?ただ、ふざけてやってみただけ。驚くかな~って♪」
それを聞いて、和樹は思いきりため息をついた。
キスという行為を「ふざけ」という思考でもとらえていたとは、なかなか大胆な女だなと思ったからだ。
それ故のため息なのだ。
そこまで話をしていた直後、ノックもせずに入って来た生徒がいた。
大輔だった。
だが、俺は妙に思った。
大輔は今までで怪我をした回数が少ない上に、入って来ることも珍しい。
ましてや、怪我人等の負傷者を心配をすることさえ、友達でない限りはまれにしかない。
大輔は、眠っている青がかった髪の女子の方に向かって行った。
(あいつが、心配をした!?珍しい…)
まあ、あいつの事だから「先生の指示で来た」という理由で来ているのだろう。
柴田が俺の耳元で、小さな声で…。
「あの女の子、矢崎 奈美さんっていうんだって。1限の後に大輔君と二人で何かあったみたいだよ」
と、話してくれた。
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