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俺は今、保健室にいる。
保健室の、矢崎が寝ているベッドの横に立てられた椅子に座っている。
先ほど職員室に呼ばれたのは、説教ではなかった。
近藤先生が、俺の説明「今回の事の起こりの訳」をじっくり聞いてくれたのだ。
その上納得してくれて、
「矢崎を迎えに行ってあげなさい」
とも言ってくれた。
最後まで良い先生だなと思った。
ここに来てから五分後、矢崎が目を覚ました。
「お…おい、大丈夫か?矢崎」
矢崎は、俺の呼ぶ声に反応して、起き上がりこちらを向いたが…。
「……っ!?」
驚いて離れる様な動作をしてしまっていた。
無理もないだろう。
いきなり、起きた瞬間に自分をひるませた者がいれば、誰でも流石に怖がる。
そんなことは俺にもわかっていた。
近藤先生が言ったからには、訳がありそうだと思ったが…。
「あ……。悪い、俺が居ちゃ悪かったか?なら俺はこれで…」
「ま、待ってください!!」
俺が椅子から立ち上がった瞬間に、矢崎から声がかかった。
「こちらこそすみません。急にあんな大声出してしまって」
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