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急に謝られて、大輔は少々困ってしまった。
何故、俺が悪いのに被害者の矢崎が謝るのかがわからなかったからだ。
とはいえ、黙っていては仕方がないので…。
「ああっ、うるせぇ!。俺が悪いって事にしとけばいいんだよ。悪いと思って落ち込んでると困るんだよ」
これが俺の悪い癖だったのかもしれない。
面倒くさくなりそうなのとは、たとえ人の心を傷つけたとしても威張って押し通す。
そんな自分はどうでも良いとは思ったが、何処か嫌っていた。
だが矢崎は、俺が威張っても震えることがなかった。
「?お前、教室や屋上の時と違って声に間がないな」
「あ、はい。正直、人が沢山いる所は苦手なので」
と、矢崎が答えてくれた。
確かに、そういう奴たまに居るよなぁと思う俺。
だが、あの時の矢崎の悲鳴はそれだけで上げるものだとはとても思えないが…。
「…月島先生も言ってました。大輔君は本当は優しいって」
突然、そんなことを言って来た矢崎。
しばらく保健室には来ていなかったが、「まだ居たのか月島先生」とも思う俺。
「ばっ、馬鹿かお前。優しいなんて言うな!」
俺は、照れているせいか、顔を紅潮させた。
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