打ち明けたい過去

15/34
前へ
/284ページ
次へ
(何故俺にくっ付く~!?) ここから、教室までの道のりで矢崎は何故か俺にくっ付いてくる。 酷い時は、腕に抱き付いたりもした。 悪い気はしなかったから、振りほどきはしなかった…が。 (周りからの視線が痛い…) 周りから「おいおい、マジかよ」的な視線が降りかかって来る…なので。 「おい、矢崎…」 「…はい、…何でしょう?…」 「これ…なんとかしろ」 俺は、矢崎に抱き付かれている腕を動かして指示をした…が。 「えと…それは…その…」 矢崎は、更に俺の腕に強く抱き付き、辺りを見回す。 (…あぁ、なるほど) そういえば、こいつは人が大勢いる所は苦手だったなと思い出す俺。 だが、それで何故俺にくっ付くかがわからなかった。 俺は不良の様な性格ではないが不良だ。 俺が不良になったのは、隣の鷺ノ宮高校の不良一団が弱い者いじめをしているから、叩きのめそうという雄二との約束によるもので不良になった。 雄二がそんな約束をしてくるはずがないのだが、多分俺の「弱い奴を叩くのは許さない」という性格を何処かで知ったのだろう。 他の奴らから言わせれば、正義の味方とでも言うだろう。 だが、人を悪い意味でも良い意味でも殴り、蹴ることはいけないことだ。 良くないことをする。 だから自分で「不良」と言い改めているのだ。 とにかく俺は後で矢崎に、くっ付いた理由を聞いてみようと思った。
/284ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加