暗い気持ち 明るい気持ち

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「母さんは……」 父さんは、言いにくそうだった。 それもそうだった。 母さんは俺に対しては、冷たい面が多々あったのだ。 俺が父さんと一緒にいると、たまにキツく叩いてくる時もあった。 学校からのお知らせの紙も、俺が渡すとすぐに破り捨てた。 そのため、学校の先生がわざわざ届けに来てくれていて大変迷惑をかけていた。 更に、最近はまた酷くなる一方。 だから、父さんは言いにくいのかもしれない。 俺がまだ小さかった頃に見た母さんの笑顔。 あの笑顔は、今ではすっかり消えてしまっている。 父さんの話だと、母さん曰く「喧嘩をすると幼い俺が泣いて迷惑だから今はやめておく」だったらしい。 「…ごめん、父さん。俺、鈍感だから…」 「いや、お前は悪くない。仕事に行ったんだ。いつものことだろ?」 そうだ、母さんは仕事に朝早く出かけているのだ。 夕方には帰ってくるから、父さんもまだいるし、夕飯は家族全員一緒になっている…わけはなく、離れて食べていた。 だが、どうしても「家族」であるためか気にしてしまう。 「まあ、朝から冷たい話はやめよう。さっ、飯食ってさっさと行け。遅刻しちまうぞ?」 そう言われて俺は、時計がかけてある方向を見る。 学校が始まる時間は8:30。 今の時間は7:30。 十分間に合う時間だった。
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