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時間が経って、放課後になる。
俺は、急いで逃げようとした。
が、柴田の行動は思った以上に迅速かつ速い。
俺が席を出る前に来ている。
傍から見ればこれは、彼女が迎えに来てくれた様に見えるかもしれない。
だが、今はそんな空気ではない。
そんな空気のまま、俺達二人は校舎の外に出て校門を過ぎた。
「ねえ…、そろそろ教えてくれても良いんじゃないの?」
校門を過ぎて少し経った後に、柴田がまた俺の不幸を聞くために問いかけてきた。
確かに柴田に話しても、テンション高い奴だから、大して興味をそそらないものだと思う。
だが、言う時の俺の心が痛いのだ。
精神的に耐えられないのだ。
だから、言うのが…恐い。
「言えない…。俺にとっては言葉に出せないくらいに辛い事だから…」
俺は、はっきりとそう言った。
言わなければ、柴田をもっと辛くさせてしまうかもしれないから。
信用を保てないかもしれないから…。
だが、その言葉は俺が思うとは逆効果に終わった。
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