1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
『…あっ』
見えないようにしていたのに視界に飛び込んできてしまった。
『ん?どうかした?』
『あ…なんでもないよ…』
小さくかぶりを振って答えてみても、動揺しているのは明らかだ。そんな自分を悟られたくなくて足元を見つめる。
どうして此処にきてしまったんだろう。いることはわかってたのに。この人がいなければ絶対に駆け寄っているはずなのに。
そんな浅ましい考えを捨てきれず、ただただ彼の言葉に相槌を打っている自分。
そして…小さな溜息。
『…行けば?』
『…いいの?』
『行きたいんだろ?』
そう言って微笑む彼。
『ありがとう!』
弾かれたように引き返す私を苦笑して見送ってくれる。そんな彼に心の中で何度もありがとうを繰り返し…私はソコに立った。
やっと…やっと…。
そして私はプリンを手に取ったとさ。
『お礼は3倍返しなー』
『やだ!』
最初のコメントを投稿しよう!