誘惑

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『…あっ』 見えないようにしていたのに視界に飛び込んできてしまった。 『ん?どうかした?』 『あ…なんでもないよ…』 小さくかぶりを振って答えてみても、動揺しているのは明らかだ。そんな自分を悟られたくなくて足元を見つめる。 どうして此処にきてしまったんだろう。いることはわかってたのに。この人がいなければ絶対に駆け寄っているはずなのに。 そんな浅ましい考えを捨てきれず、ただただ彼の言葉に相槌を打っている自分。 そして…小さな溜息。 『…行けば?』 『…いいの?』 『行きたいんだろ?』 そう言って微笑む彼。 『ありがとう!』 弾かれたように引き返す私を苦笑して見送ってくれる。そんな彼に心の中で何度もありがとうを繰り返し…私はソコに立った。 やっと…やっと…。 そして私はプリンを手に取ったとさ。 『お礼は3倍返しなー』 『やだ!』
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