プロローグ

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それから10年。シュバルツたちにとって、この10年は非常に密度の高い10年となった。 艦の構想やデザイン、理論付けなど、初期段階におよそ2年。超重力波動砲の小型化に至っては2ヶ月で完成。むしろ、艦の推進システムや空間湾曲発生装置と言った得体の知れない機械に多量の時間が係ることとなった。 ちなみに、それだけの事をやってのけたのはローズとアリスである。その間シュバルツとメリッサは事務局にやってくる書類に目を通し、ハンコをうつと言う作業を自分たちがやっていいのか不安になりながらやっていた。 設計も同じく2年かかってしまった。シュバルツたちが全体を設計し、アリスが特殊兵器の設計をするという役割分担で進めていた。 四六時中図面と向き合い、コーヒーを飲みながら作業をする、何とも単純な行為ではあったが、何故か楽しく思えていた。 この年、事務局長のローズが結婚。事務局内で盛大な披露宴が行われ、半缶詰状態だったシュバルツたちにとっても嬉しい瞬間となった。 ただ、所詮は絵でしかない設計図をものにするには時間が係る。これはどの場合においてもだいたいそうだし、この艦にしてもそうだった。6年で完成に漕ぎつけるとは、正直予想を遥かに超えるスピードだ。 毎日が徹夜。これを支えたのは、軍部を超えるのではないかと思われるドッグと、そこにいる作業用ロボットたち、そして超高額な電気代だった。
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