プロローグ

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すべてが順調に進んでいたのだが、5年たった4月1日。銀河連合軍部とデルトゥークとの武力衝突、つまり戦争が始まったのだ。 話によると開戦ギリギリまで貿易交渉が続けられていたらしいが、デルトゥークと無謀という条件を曲げず、開戦に至ってしまった。 ちなみに内容は貿易品である液体金属の価格値上げだ。 その額、およそ十倍。 当然、連合としては液体金属は必需品なのだが、そんな何十億という金をかけれるほどの余裕は無く、交渉は決裂してしまったのだ。 さらに不幸なことに、アリスも原因不明の病気で死亡してしまったのだ。ただ一つ、イマイチ理解しがたいプログラム『A』を残して。 葬儀は身内だけというか、アリスと関わりの深かった者たちのみで執り行われた。 なのに、ローズを含め、泣いているものは誰もいなかった。シュバルツたち元軍部の人間は、それこそ死と隣り合わせの生活をしいられてきたのだから置いておくとして、ずっと二人三脚でやってきたローズが泣いていないのはちょっと不思議な感じだ。 後からローズの挨拶で脳の使用率が90%を超える人間は病気にかかりやすく、これまでの過剰労働が響いたということだそうだが、実際のことは不明なままだった。 その一年後 悪化した世界情勢の中、遂に事務局所属戦艦が産声をあげるのだった。
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