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「相変わらず事情の見えない連中だな。アンビエントなどと言ういつ襲うかわからない敵より、目の前にふりかかってきている火の粉を祓うのに全力を尽くすのが当たり前ではないか」
「全くですな」
その時、会議室に新たに一人、兵士が入ってきた。
「報告があります」
「何だね?」
「受艦式が今日に変更されてました。もう暫くしたら開始されるもようです」
「なんと!」
「それは本当か!」
「おのれ…ロゼめ!」
各々悪態をつく。
「…デスサイズに発進準備をさせておけ」
部屋の空気が凍り付く。
デスサイズとは軍指令部直属の二番艦、つまり彼等直属の戦艦である。そして、それはすなわち軍部における最高艦であることもしめしている。
「デスサイズをですか?」
「そうだ。更に襲撃艦を三隻引き連れさせろ。あと、ロゼ事務局長の解任を急がせろ」
「ハッ!了解しました!」
そう言って入って来た兵士は出て行った。
裏でそんな動きがあるとはつゆしらず、シュバルツとメリッサは軽く、大して中身の無い話をしながらドッグへと向かっている最中だった。
通路の突き当たりを右に曲がり、真っ直ぐ行くと、そこがドッグだ。
扉を開ける。すると、そこには白銀の輝きを放つ新造艦と、通常の戦艦と比べて明らかに少ない乗組員の姿、そしてロゼ事務局長の姿があった。
「さて、真打ちが登場したところで、早速受艦式といこうかね」
そう言って、ロゼの話が始まった。これから五分弱詰まらない話が続くのだろう。
「皆さんに、この艦を授けます。以上」
…なんともあっさりと受艦式は終了してしまった。
「皆さん、直ちに発進準備に取りかかって下さい。シュバルツ艦長、メリッサ書記官、これから先はあなた方に任せます」
「りょっ、了解しました」
拍子抜けしていたシュバルツは少し詰まった感じの返事をしてしまった。
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