プロローグ

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中に入った二人は唖然とした。事務局長と言うからにはそれ相応の年で、しかも男性と言う偏見があったからだ。 勿論、トップが女性と言うのは歴史上決して無いことでは無い。 しかし、そう言うには余りにも目の前にいる女性は若すぎた。実年齢は不明だが見た目は20代後半から30代前半といった感じだ。結構な美人である。あまりの違いに『秘書官殿ですか?』と聞いてしまい、小尉は鋭く睨まれた。 「二人とも良くいらっしゃいました。私が事務局長のローズです。こっちは秘書のアリスです」 「どうも、アリスです」 こっちの秘書も負けず劣らずの美人だ。いったい事務局はどうなっているのか知りたくなる。 「あの…失礼ですが、お二人はおいくつなのですか?」 初対面でしかも雲の上の存在である人に対して、非常に失礼なのを自覚して、何かしらの罰を覚悟して、小尉は聞いた。 ところが実際は、睨みも何もしないで、まるでいつものことのように反応した。 「そうね、貴方たちの常識を考えると無理もないわね。私は33、アリスは26よ」 若い。エリートコースに乗って来たとしても、この早さは尋常じゃない。 確かにシュバルツも20歳と比較的若いが、士官学校のエリートで有ることを考えると、はっきり言って無難な階級だ。
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