僕と一馬の鬼ごっこ

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だけど、喩え(たとえ)そうだとしても涼弥を殺したくないって俺がいるのは確かだ。 『貴方…私達の心(魂)を奪っておいて、自分には人間としての心があると御思い?』 女…セリアが俺に言う。 セリアの言いたい事も解る。 俺は霊体となったセリア達の心が食べたくて…欲しくて奪った。 その行動は正しく鬼。 食べたいと言う衝動に負けて、弟を食べたのも鬼だ。 涼弥の子供達の心が欲しくて追いかけたのも。 そう、全ては鬼の仕業。 俺の仕業。 解ってる。 俺は人間じゃなく、鬼。 それも 『中途半端な鬼。』 俺の言葉を聞いて 『それなら、完全な鬼になったらいかが?』 と、セリア。 『完全な鬼?』 『えぇ。』 俺は首を傾げる。 完全な鬼に…ってどうやって? 『あぁ~ナイス、セリア。』 もう一人の俺が、感心した様にセリアに言い 『俺は完全な鬼になる。』 と、俺に。 そんな俺に俺は 『ちょっと待て。完全な鬼になるって、どうやって?』 尋ねた。 すると 『簡単な事だ。お前は俺だが俺じゃない。 が、お前がこの身体の自由を握っている。 そこでだ、どーせお前…"俺"の事だから高槻涼弥を殺したくない!!ってほざきやがると思う。』 言いながら鎌を構えた。 それを見て 『…どう言う事だ?』 『俺なんだから解ってるだろ? 邪魔なんだよ!!』 叫び言い、俺に鎌を突き刺した。
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