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「はぁ…。」
一真達は悪くない。
悪いのは、梓の闇に気付いてあげられなかった僕だ。
全ては僕の罪。
僕だけが鬼と梓を救える。
一馬には逃げろって言われたけど、それは出来ない。
一馬は鬼になっても、僕の事を思ってくれていた。
それなら僕のやる事は一つ。
「僕の魂で救う。」
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「…。」
静かに、パパの入っている風呂場を見る。
パパ、何を考えているんだろう?
何だか嫌な予感がする。
本当はママと同じ不思議な力があるなんて嘘。
私は、ママとパパに嘘をついてる。
お兄ちゃんにも。
私の力は井上魃禰(いのうえ・はつね)の物。
鬼ごっこをして思い出した。
「私は井上魃禰。」
私は20年前に鬼に殺された。
だから一馬おじさん、海藤一馬の考えている事が何となく解る。
「はぁ…。」
普通の子供として暮らしたかったのに無理みたい。
鬼ごっこ初日に、記憶が一気に戻ったせい。
鬼のせい。
私はパパ…涼弥をもう一度、風呂場のドア越しに見てから二階にある自分の部屋へ。
「ママ?」
部屋のドアを開けるとママが私の机の椅子に座って、何かをしている。
そんなママを不思議に思い、私は
「何をしているの?」
尋ねた。
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