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するとママは椅子から立ち上がり、一枚の紙を私に。
「それ、初音にあげる。」
言い、部屋から出て行った。
そんなママの後ろ姿を見送って、渡された紙に目をやる。
「ん?」
『高槻涼弥が憎い。
直ぐにでも殺してやりたい。
携帯は私から鬼に渡った。
手間をかけ、涼弥を苦しめているのは…涼弥を簡単には殺したくないから。』
何これ…?
パパに対するママの憎しみと、自分が鬼を操ってるって白状した様な文。
ママがパパを恨んでて鬼と関係してる事はパパや私、お兄ちゃんの知ってる事。
それなのに、何で今更?
鬼ごっこが後二回って時に、白状した様な文を私に?
私は訳が解らず、ママが座っていた様に椅子に座った。
こうすれば、ママの考えている意図が解るんじゃないかって思ったから。
「うーん…何で今更、こんな告白文を書いたんだろう?」
独り言を呟きながら、もう一度ママの書いた文章を読む。
そして気付いた。
この手紙に書かれている文章の始めの文字を組み合わせて読むと
「たすけて。」
たまたま、そう言う風に読めるだけかも…。
いや、もしかしたら無意識のまま書いた文章で、ママが心の奥底で思っている事。
ママの心の声。
パパの事が憎いけど、本当は憎みたくない。
だから、こんな私を助けてって。
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