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「パパ。」
外に出た僕の目の前には、何故か初音。
「どうしたの?」
僕は初音に尋ねる。
すると、初音は
「これ。」
僕に、見覚えのある袋を渡した。
「これ…」
「そうだよ。一馬おじさん。」
言いかけて、初音が先に答える。
やっぱり。
これは僕が一真に渡した、一馬の骨が入った袋。
「何で初音がこれを?」
「お兄ちゃんから預かって来たの。
一馬おじさんはパパの大切な親友だから、一馬おじさんを肌身放さず持っていて良いのはパパ。
お兄ちゃんに、そう言ったら確かに!!って(笑)
だからパパに。」
笑顔で言い、言葉を続ける。
「きっと、パパを助けてくれる筈だよ。」
真剣な顔をして、僕を見た。
僕は初音の言葉を静かに聞いて頷き、目を瞑って耳を澄す。
一馬の本当の心が知りたい。
こうすれば一馬が、僕に話しかけてくれる様な気がして…。
「パパ。魃禰は今も昔もパパ(涼弥)の味方だからね。」
「ん?」
初音の言葉で、目を開けた。
だけど今迄、僕の目の前にいた筈の初音の姿がない。
「初音?…初音?」
名前を呼んでみるけど返事がない。
おかしいな…。
足を捻っている初音が、早く歩ける筈はないんだけど…。
って、僕が鬼ごっこしてる間に良くなったのかも。
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