僕と鬼の鬼ごっこ

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『…何をする気だ?』 俺(鬼)の背中に寒気が走る。 何だか今日の涼弥は妙だ。 死ぬのが嫌だと言っているのに、望んでいるような目の色。 俺の顔を見ている筈なのに、俺の顔ではなく俺の何かを見透かしている様に感じる。 「別に何もしないよ。」 言い、俺に笑顔を向ける。 益々おかしい。 涼弥が何を考えているのか解らない。 頭が混乱しそうになる。 そんな俺に 『殺せ。』 と、背中のガキが言う。 『五月蠅い。お前も俺の邪魔をする気か?』 首を180度回転してガキを睨む。 すると 『…歯向かう気か?』 低いトーンでガキが俺に言い、口からヘドロを吐き出し俺の顔に。 『うっ…。』 息が出来ない!! 『お前を呼んだのは誰?』 『ぐ…。』 ヘドロが纏わりついて言葉がでない。 『誰!?』 目を大きく見開いて叫び、聞く。 『ごぷっ…う…。』 『あぁ…それが邪魔で話せないのか。』 ニヤッと笑い、俺の顔を覆っていたヘドロを退した。 『ゲホッ!ゲホ!!』 「一馬?」 俺が咳をした事で、俺の身に起こった異変にやっと涼弥が気付いた。 『はぁ…はぁ…はぁ…、俺を呼んだのはっ…はぁ…テメェだよ…。』 呼吸をしながら涼弥を無視し、ガキに言う。
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