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「どーだった?」
清恋はニヤニヤしながら聞いてくる。
「えっ、すごくいい人だったよ」
私は無難な答えを返しておく。
「そかそか。まぁ、恋を忘れるには新しい恋だからね」
清恋の意味深な言葉に思わずえっと聞き返す顔をする。
「バカ夏海。私が気づいてないとでも思った? 夏海は私に気を遣ってか、話してくれなかったけど別に話してくれていいんだよ?」
私は思わずぽかんと口が開く。
え?
つまりそれって…
私がまだ先生のこと忘れられていないって気づいてたってこと?
「その顔マヌケー」
という言葉を残し、清恋たちは観覧車に乗り込む。
ガチャンと扉が閉められ、ガラス越しに清恋はヒラヒラと手を振る。
なんとなく…清恋の口が『ファイト』と動いたような気がした。
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