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その瞬間、ゴンドラの扉がガチャっと開き、
「はぁい、お疲れさまでしたぁー」
と、かなり空気と違う声が響く。
怯えたままの女と、うなだれる男が乗っているゴンドラを見て、係員も『しまった』というような顔を一瞬したように見える。
拓矢くんが先に降り、私に手を差し出してくれる。
その手を取り地面に降りると、出口のそばで清恋たちが待っているのが見える。
「拓矢くん…ごめんね? 違うの、拓矢くんが嫌だったんじゃないの。昔のこと…思い出しちゃって」
うつむきながら必死で言う。
そのまま、拓矢くんのことは見ずに拓矢くんから離れ、清恋に駆け寄る。
今日帰ったら、清恋に全部話してしまおうと思いながら…
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