第三章📖 感受

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…蒸し暑い日だった 虫の音色が僕を鼓舞するファンファーレの様に耳に木霊する。 …誕生日の前日の夜 僕は法子と二人で… 景色のいい海岸線に車を止めている。 僕達はこんな日でも… …自然に会話が出来た 何でもない事が幸せと感じるのは、本当の様だ。 …僕は今まで触れなかった 初めて法子に逢った面接の日の事を話出す。 「面接の時、俺が変な質問したの…覚えてる?」 『変な質問?』 法子は首を傾げている… 『わかった…今どんな感覚か聞いてきたのでしょ?…別に変と思わなかったよ。全然…なんで?』 「だって面接官の質問じゃないでしょ…あの時ね…」 …僕の少しの沈黙が場の空気を一変させる。 法子は黙って、僕の吐き出す言葉を待っている… 「あの時…法子を見た瞬間…脳が弾けて、幻想が見えた。運命の女だと思った…その後も法子と一緒に居て確信した。」 …僕は溜め込んだ想いを吐き出し、涙が止まらなかった。 法子はこう云ってくれた… 『私もだょ…初めて見た時から幸せで凄く居心地が良かった。脳は弾けなかったけど…あんまり不思議な感覚だったんで…何だろ?って思ってた。…その後一緒に居る様になって…私も確信した。』 …法子も泣き出してしまった。 …僕は最後に残った気力を振り絞り想いを伝えた。 「法子…本当に愛してる。…ずっと俺の傍に居て下さい。…待たせてゴメンな。」 …法子は号泣しながら 一度だけ…『うん…』と頷いた。 …僕達は涙でぐちょぐちょになりながら 幾度も幾度もKissを重ねた。 ……今でも脳髄まで響き渡るあの感覚は… …いや、一生忘れない。
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