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…蒸し暑い日だった
虫の音色が僕を鼓舞するファンファーレの様に耳に木霊する。
…誕生日の前日の夜
僕は法子と二人で…
景色のいい海岸線に車を止めている。
僕達はこんな日でも…
…自然に会話が出来た
何でもない事が幸せと感じるのは、本当の様だ。
…僕は今まで触れなかった
初めて法子に逢った面接の日の事を話出す。
「面接の時、俺が変な質問したの…覚えてる?」
『変な質問?』
法子は首を傾げている…
『わかった…今どんな感覚か聞いてきたのでしょ?…別に変と思わなかったよ。全然…なんで?』
「だって面接官の質問じゃないでしょ…あの時ね…」
…僕の少しの沈黙が場の空気を一変させる。
法子は黙って、僕の吐き出す言葉を待っている…
「あの時…法子を見た瞬間…脳が弾けて、幻想が見えた。運命の女だと思った…その後も法子と一緒に居て確信した。」
…僕は溜め込んだ想いを吐き出し、涙が止まらなかった。
法子はこう云ってくれた…
『私もだょ…初めて見た時から幸せで凄く居心地が良かった。脳は弾けなかったけど…あんまり不思議な感覚だったんで…何だろ?って思ってた。…その後一緒に居る様になって…私も確信した。』
…法子も泣き出してしまった。
…僕は最後に残った気力を振り絞り想いを伝えた。
「法子…本当に愛してる。…ずっと俺の傍に居て下さい。…待たせてゴメンな。」
…法子は号泣しながら
一度だけ…『うん…』と頷いた。
…僕達は涙でぐちょぐちょになりながら
幾度も幾度もKissを重ねた。
……今でも脳髄まで響き渡るあの感覚は…
…いや、一生忘れない。
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