プロローグ

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魔物達が襲ってくる瞬間に、マリアは目を閉じた。 『ドゴン!!!』 爪に引っかかれたり、歯で肉が噛み切れる音ではなく、鳴り響いたのは何かが吹き飛ばされる音だった。 その音は鳴り止むことはなく、十数分の間し続けた。 シュリアの耳には届くものの、脳には認識されずただただ体を縮こまらせ、目を閉じていた。 その音がしなくなると、 「がはは、大丈夫か?」 先程と同じく突然声をかけられた。 シュリアは一瞬びくっと体を震わせると、少ししてから恐る恐る閉じていたまぶたを開けた。 辺りには魔物の死骸が散らばり、血だらけであった。 「…え?」 すぐにはそれらは認識されなかったが、それが魔物の死体であると認識すると間もなく、恐怖で先程と同じく目を閉じ脳が辺りの音を認識しなくなった。 先程と違う点はただ一つ、完全に意識が無くなったということ。 つまり、シュリアはその場で気絶した。
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